不動産の売買仲介手数料の上限は、法律で売買価格×3%+6万円と定められている。つまりどんなに手間暇をかけて仲介業務をこなしても上限が決められているため、不平等な制度と捉えられることもある。例えば800万円のワンルームマンションを仲介した場合だと仲介手数料は30万円となる。一方、3億円のマンションを仲介した場合でも同じ手数料率になることから、手数料は906万円ということになる。一般的には取引価格が高額になるほど手間がかかるのだから手数料が高額になるのは当然だという見方をされるが、実態はそうではない。取引そのものの手間や煩雑さと価格の高低は全く関連性はない。むしろ高額な物件の売り主の方が不動産の取引そのものに慣れていて、不動産取引の常識を理解してくれている分、スムーズに取引できたりもする。
ただ、こうした取引内容について判断した上で手数料額が決められる訳ではないため、取引の仲介人である不動産業者はより納得感、もしくはよりお得な仲介手数料額をみずから設定しようとするという業界の裏事情が存在する。つまり手数料3%+6万円の上限を超える金額を売り主もしくは買い主側から徴収するというものである。ちなみに売り主から直接物件を預かっている仲介業者が買い主をみずから直接客付けをした場合は、買い主からも3%+6万円の仲介手数料を収受することができるため、最高で合計6%+12万円を受け取ることができる。しかしこの最高上限金額をさらに超える金額を取ろうと考える不動産業者がいるということをここでご説明したい。
不動産で独立する前に考えて欲しい3つの事。年齢、スキル、そして○○!
ぶっちゃけ年齢は関係あるの?
① 20代後半で独立する人
② 30代半ばから独立を意識して独立した人
③ 不可抗力で独立することになった人
大概は上記のいずれかに当てはまると思う。ではそれぞれについて掘り下げてみたい。
①20代後半で独立する人
このパターンの人ははじめから独立するつもりで不動産業界に飛び込んでくる人が多い。一方、高学歴の新卒で不動産業界に入った人は、高卒などで飛び込んできた人と比べて独立意識が低い傾向がある。これはおそらく、機会コスト、すなわち高学歴から就職して得たポジションを投げ打って、リスクをとって独立するかという損得勘定が無意識に働くからだろう。ちなみに変わったところでは、20代後半に異業種から不動産業界に飛び込んできて1年もしないうちに独立して行った人もいる。そいういう意味では「リスクをとる勢いのある若者」が独立していると整理することができるだろう。
② 30代半ばから独立を意識して独立した人
このパターンはおそらく想像通りだと思う。サラリーマンをやって、ある程度のスキルやノウハウを蓄積し、満を侍して独立というパターンだ。20代のリスクテイキングな独立と比較して、「質実剛健型」の独立と言えるだろう。
③ 不可抗力で独立することになった人
一例としてはそれまで在籍していた会社が潰れて、ほっぽり出されたパターン。リーマンショック後はおそらくこのパターンが非常に多かったように思う。上記のパターンで言えば②に分類される人が多いだろうか。意外に思うかもしれないが、筆者がみている限り、一度独立して再度サラリーマンにもどるケースは多くない。結構多くの人が独立のままがんばっている。ただし、サラリーマン時代と同程度の収入に甘んじている人も多いように思う。
筆者の独断と偏見になるが、②と③のパターンでは、サラリーマンの時は大きい仕事していた。独立して「大きな仕事はできない」と思っている人が多い。言葉は悪いのだが、小さくまとまりがちなきらいがある。これはこの後の「ビジョンとビジネスモデル」でさらに言及する。
まとめると、早い人は年齢的には20代後半から独立していて、30代で独立する人は独立して40代を迎えている。40代になってから独立を考えるのであれば②のパターンをさらに深化させる必要があるだろう。
あたなには必要な3つのスキル
なんと言っても独立したら、自分の力でお金を稼がねばならない。ズバリ、「安く持ってきて高く売る」スキルが大事で、それを冷静に見つめ直して欲しい。そしてそのスキルの解像度を上げていくと下記のようになるのではなかろうか。
【安く売ってくれる人よりも、高く買ってくれる人を捕まえろ】
安く売ってくれる人がいたとしても、おそらくそれは続かない。1件2件ならあるだろうが、10件20件とそんなことが続くだろうか。つまり、売り手に関しては幅広な人脈ポートフォリオが必要なのだ。
それに対して、買い手は少し事情が違う。独自のビジネスを確立しているが故、買い続けられるプレーヤーは存在する。そこにどれだけ食い込んでいけるかの勝負になる。売り手の人脈ポートフォリオと比較して、買い手側とは狭くとも深くつながることが重要になってくるのだ。
前置きが長くなってしまったが、単刀直入に言うと「決裁のキーマンとつながるスキル」を研ぎ澄ますことが最も重要だと思っている。そんな人物を筆者なりにプロファイリングしてみると、①中小なら出世しそうな課長以上、大企業なら課長クラス、②出世頭で自分でスピーディに物事を進められて会社を説き伏せることができる人。偉ければいいと言うものではない。偉い人を巻き込むのが上手な中堅と言ったところか。
次に重要なスキルは「仕事が速い」こと。なんだそんなことか、と思うかもしれない。だが、向き合った相手が期待を超えるスピードで応えてくれた時に芽生える信頼感を過小評価してはいけない。おそらくあなたにも心当たりがあるだろう。キャッチボールが速くなるだけでなく、信頼感の積み重ねも速くなるのだ。
3つ目のスキルを挙げるならば、「細かいことを言わないバランス感」だ。こんな経験はないだろうか。良い案件がきているのに、最初から細部にこだわって成約まで至らなかったケース。言い換えれば、重要なこととそうでないことの見極めとそれをハンドリングするスキル。独立すると、周囲に注意してくれる人も限られてくるから、このバランス感は意識して欲しい。
ちなみにこれは契約書のことではない。あくまでもビジネススキルのことだ。契約書の細部にきちんと目を凝らすのは言うまででもない。
なぜ独立する?どこを目指す?ビジョンとビジネスモデルを描こう
あなたは目指すすがたを言語化できているだろうか。今の仕事の延長線上にその目標はあるだろうか。それとも大きな壁やチャレンジの向こうにたどり着きたい場所があるのだろうか?
これらに答えられない状態で独立したら、十中八九日銭稼ぎの管理会社モデルに行き着くと筆者は考えている。時間もお金も心の余裕もない状態で決断を下していくと、残念ながら人は易きに流れる。だからこそ何を目指して、何に取り組んでいかねばならないかを事前に明確にする必要があるのだ。
ビジネスモデルと売上ポテンシャルの目安を示そう。
仲介のみ → 1億円
区分の買取転売 → 10億円
1棟の買取転売 → 200億円
小規模のMS開発 → 1000億円
ではその時に必要とされる要件を整理してみよう。
仲介のみ → 資金ゼロからできる、労働集約的≒時間の制約
区分の買取転売 → 一定の資金が必要、ただし金額が大きくないので労働集約的≒時間の制約
1棟の買取転売 → スポンサーが必要、スケールメリットが出る≒資本集約的
小規模のMS開発 → スポンサー+開発ノウハウが必要、スケールメリットが出る≒資本集約的
非常に単純化してまとめたが、伝わるだろうか。目標を何に設定するかによって必要とされることが変わってくる。そしてそれは間違いなく、地続きや延長線上にあるものではなく、乗り越えなければいけない壁やチャレンジがあるのだ。
それらをどうやって乗り越えていくかは別途ご紹介したい。ぜひ年齢、スキル、そしてビジョンに対して、あなたの現在地と足りないものを整理してみて欲しい。
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